オーディブック『本質を突き詰め、考え抜く哲学思考』を聴いた(2024 年 4 月 28 日)

日記

(アイキャッチ画像出典: 出版社公式サイトより)

良い天気。

世間は今日から大型連休。

私は関係なく、午前中、良い感じに仕事。

ChatGPT の画像認識能力

ChatGPT で、花を撮影して花の名前を尋ねるプロンプトを入力したら、ふつうに花の名前を教えてくれましたね。
もうこれでいいのでは …

午後から勉強。のはずが …

午後から勉強。のはずが、1 件、仕事を忘れていて、勉強時間たったの 20 分。

内容は中小企業診断士の資格試験対策で、『過去マス』2023 の財務会計をちょっとだけ問題演習。

終了。

その忘れていた仕事を無事終え、それからどうしようか、蔦屋書店へ行ったり、大したものもなかったけど、あとは、予定通りというか、今日はそもそもトリム公園周辺でランニングして、ながおか温泉でサウナ予定だったので、その通りに行動。

トリム公園へ行く道中で、オーディオブック吉田幸司『哲学思考』を聴きました。

オーディオブック吉田幸司『本質を突き詰め、考え抜く哲学思考』

正直、昨日、一昨日と聴いてきて、ありきたりなビジネス証の枠を超えないかな、といった印象だったのですが、野中郁次郎がホワイトヘッドを参照にしていたりとか、そもそもホワイトヘッドがハーバード・ビジネス・スクールにゆかりがあるとか、その辺の話題は興味深かったですね。

それから、ランニングして、5 km。久しぶりに1キロメートル5分台で走れたので、けっこう満足だったのですが。

鶏向公園からながおか温泉へ行く道中でも『〜哲学思考』を聴いて、聞きながらいろいろ考えていたのですが。

ざっくり感想

この本はモチベーションの部分では評価できるけれども、それに内容が伴っていないようにも思えましたね。

ビジネスにおける哲学思考と、業績評価

それからとても気になるのが次の点。

これからかなり散発的・散文的にコメントしますが。

哲学的思考をビジネスへ応用しようとする際に難しいのは、評価をどうするかということ。

哲学的思考をビジネスへ導入した際に、業績がどのように向上したのか。もちろん売上が向上しなければいけないのだけれども。しかし単に売上が向上がれば良いのではないですね。というのは、別に哲学的思考でなくてもそれは誰でも言えることであって、例えばそこに倫理的な観点が導入されないといけません。ではその倫理的な改善というのが、どのように評価されるのかと言うのは、よく議論されなければいけないでしょう。

例えば1つアンケートというものがあるのですが、アンケートというのもほんとにそれは信頼できるのか、と。アンケートとは畢竟、質的データであって、(吉田の言う) 哲学的思考とかいうものが大事にしている人間性をカテゴリカル変数へ還元して人間性を剥奪してしまうことに他ならないからです。

吉田は『哲学思考』で、一部、ビジネスにおけるデータ主義のような何かを批判的検証の対象としていますが、ではデータではなく、別の方法で、どのように評価するのでしょうか。

そもそも評価ということ自体を根本的な疑いの対象にするのであれば、では一体どうして哲学思考をビジネスへ導入しなければいけないのでしょうか。なんとなくわかった気にさせるような、気持ちが軽くなった気にさせるような、そのようなカウンセリング的な何かなのであれば、欺瞞に近いと言わざるを得ません。

ホワイトヘッドとドゥルーズ

『哲学思考』後半部の、哲学者の引用の部分も、やや強引さがあるのではないかと思ってしまう。

例えば吉田はもともとはホワイトヘッドの研究者で、野中郁次郎がホワイトヘッドを参照にしていたといったような事実もあり、ビジネスと哲学のつながりを見出したのだろうと推察できます。

もともとホワイトヘッド、つまり分析哲学の研究者であるから、『哲学思考』にハイデガーやサルトルといった哲学者が登場しないのもうなずけますね。

しかし一方でドゥルーズを参照にするなど、けっきょく分析哲学の系譜のアプローチでビジネスに接近したいのか、それともそうでは無いのか、といった態度のようなところが不明瞭です。なぜホワイトヘッドの話をしていたのに、急にドゥルーズになるのか。ドゥルーズはホワイトヘッドを参照にしていたのか。あるいは最初にしていなくても、両者の思想に何かしら共通点があったのか。そういった点をもう少し丁寧に説明いただければ、哲学にもともと関心を持っている人にはありがたいのかもしれない。ちなみに野中郁次郎はフッサールも参照にしています。

有機的組織について

そもそも有機体的な組織という考え方において、ドゥルーズとホワイトヘッドに共通点があったから両者を参考にした、という程度であれば、むしろドゥルーズでなくても良いですよね。例えばモナドだったり、あるいはもっと大胆に和辻の間柄だったり、それこそハイデガーの世界内存在を拡大解釈して有機体的な在り方みたいな。そういったことも言えなくはない。

ということで掃除で哲学的思考は、そのモチベーションが非常に高く評価できるものの、内容的に言えば既存のビジネス賞の枠を大きく超えて何か示唆に富んだものではないし、後半のホワイトヘッドとドゥルーズの議論はやや強引にも見えます。私個人的に新たに得られた知見 (ホワイトヘッドと野中郁次郎) はあったものの。

ではこの本がダメなのかというとそうではなく、こういった思考をさせてくれた本というのは、良い本なんだと思います。

私は読書体験の良さの基準として、良い本だったか悪い本だったか、と言うのはもちろんあるのですが、内容が正しかったりですね。それとは別に、いろいろ考えさせてくれた、と言うのも、1 つ基準として持っています。

ですので、吉田『〜哲学思考』は、内容に不満はあるものの、いろいろ考えられたので、これは良い本だと思いましたね。

循環経済の矛盾

私は最近、循環経済について考えていて、しかし循環経済の矛盾は、循環を維持しようとした瞬間に、衰退してしまう、この点にある。というのに気づきまして。

だから循環させようとすると、何かしら常に改善していかなきゃいけない。要するに何かしら成長とか発展とかというような要素がなければ、循環は成立しない。

しかし成長とか発展の要素を取り入れなければいけないのは、どうも循環経済とは矛盾する気がします。

なんて言うことを考えながら、車を運転しながら、ながおか温泉に着。そして風呂に入り、サウナに入り、美味館で暴食。

完全にキマりました。

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