RURAL CONNECT KOCHI の第4回セミナーに参加し、地域資源を活用した新規事業の可能性を学びました。今回は、香川県のローカル鉄道「ことでん」の再生に取り組む真鍋康正氏を講師に迎え、地方公共交通の課題や新規事業創出の実践例を中心に議論しました。以下、セミナー内容を基に、ブログ記事としてまとめました。
講師紹介: 真鍋康正氏
香川県高松市出身の真鍋氏は、地元の公共交通を支える「ことでんグループ」の代表として活躍する一方、スタートアップ支援を手掛ける「HOXIN株式会社」の代表取締役も務めています。公共交通からスタートアップ支援、さらには教育分野まで、多岐にわたる活動が特徴です。
主な経歴と役職
- ことでんグループ
- 高松琴平電気鉄道 代表取締役
- ことでんバス(株)、日新タクシー(株)などの代表取締役
- スタートアップ支援
- HOXIN(株)代表取締役
- Tech CFO Office 取締役
- 社外取締役(MATCHA、Zip Infrastructure ほか)
- 教育・社会貢献
- 神山まるごと高専 起業家講師
- 香川大学非常勤講師
地域交通再生の取り組み: 「ことでん」の事例
香川県の「ことでん」は、かつて経営破綻した地域鉄道ですが、真鍋氏のリーダーシップのもとで再生を果たしました。その取り組みは、公共交通が直面する全国的な課題にも多くの示唆を与えます。
経営破綻の背景
- バブル崩壊後の不動産投資失敗
- 地域住民や行政からの支援不足
- 「愛されていない」鉄道というイメージ
再生への道
- ICカード導入や新駅設置、乗り換え割引など、利用者目線での利便性向上。
- 地元施設とのコラボレーション(仏生山温泉やスケートリンクとの提携)。
- PR戦略
- SNSやゆるキャラ「ことちゃん」を活用し、注目を集める企画を実施。
- 運賃以外の収入確保のため、広告やレンタルサイクル事業を拡大。
特に、真鍋氏が強調したのは「愛される鉄道づくり」。問い合わせへの真摯な対応や、労働者との対話を通じて信頼関係を再構築しました。
地域活性化のための新しい挑戦: HOXINの取り組み
真鍋氏が経営するHOXINは、地方における新しい産業と雇用を生み出すスタートアップ支援を行っています。
代表的なプロジェクト
- 建ロボテック: 建設業向けロボット技術の開発。
- 電脳交通: 徳島発のタクシー配車システム。
- MATCHA: 訪日外国人向け観光メディア。
- 瀬戸内サニー: ローカルメディア運営(YouTubeでも評価)。
出資先の例
- スマート牡蠣養殖(リブル)
- 視覚障害者向けメガネ開発(Raise the Flag)
- ドローンショー事業(石川)
これらのプロジェクトは、地域の課題を解決しつつ、新しい価値を生み出すものとして注目されています。
地域資源を活かすビジョン
真鍋氏が描く地域活性化のビジョンは、「アクセスできる地域は、人があきらめずに暮らせる地域」という言葉に集約されています。情報、教育、医療、文化など、多様な要素が揃うことで、地域の持続可能性を支えます。
必要な要素
- 新しい雇用の創出: 地域の若者流出を防ぐため、高賃金の職場を提供。
- 多様性の受容: 包摂的な社会づくりを目指す。
- 持続可能なビジネスモデル: 補助金やクラウドファンディングも活用。
真鍋氏からのメッセージ
セミナーの最後に、真鍋氏は「地域の課題は一人で解決できるものではなく、地域住民や行政との協力が不可欠」と強調しました。地方での挑戦には多くの困難がありますが、地域資源を活かした事業づくりは可能性に満ちていると、私も思います。
まとめ
「ことでん」の再生やHOXINの事例は、地域活性化のヒントを数多く提供してくれました。真鍋氏の取り組みは、交通やスタートアップ支援を超えて、多様性や地域の未来を見据えた挑戦の象徴と言えるでしょう。このような事例を参考に、私たちも自分たちの地域資源を活かした取り組みを考えてようと思います。
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